JLPT N1 · Graded reading
智恵の一太郎
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「わかった。わかりました。なんでもないことなんです。目から遠いものは小さく見え、近いものは大きく見えるということです。あすこにたんすがあるでしょう」
一太郎君は、そう言って、お部屋の中のたんすを指さしました。
「あのたんすは僕の手の平よりも、何百倍も大きいでしょう。それでも、手の平を僕の目の近くへやると、あのたんすがかくれてしまうんです。手の平は、目に近いから、たんすより大きく見えるのです。手をもっと目のそばへやれば、たんすは指の先にだってかくれてしまいます。でも、あのたんすをここから見て、手の平ぐらいの大きさだなんて、誰も思わないでしょう。やっぱりたんすぐらいの大きさだと思っているでしょう。
From 江戸川乱歩, 智恵の一太郎 via Aozora Bunko. Public domain; transcribed and proofread by Aozora Bunko volunteers.