JLPT N1 · Graded reading

兄の声

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あるとき、ぼくが、

「にいさんは、いつも音楽をきいたあとで、どんな空想をなさいますか。」と、きいたことがある。ふだんから、美と平和を愛する兄であるのを知っていたけれど、こうした場合に、希望や、空想が、どんな形であらわされるだろうかと思ったからです。

兄は、遠くを見るような目つきをして、

「そうだな、いい音楽をきいたときだね。」といって、考えました。

「美しい、絵のようなけしきが、目に浮かんでくるよ。」

「どんなけしき?現実でなく、架空な、未来の世界とでもいうのですか。」

From 小川未明, 兄の声 via Aozora Bunko. Public domain; transcribed and proofread by Aozora Bunko volunteers.