JLPT N2 · Graded reading

山の上の木と雲の話

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山の上に、一本の木が立っていました。木はまだこの世の中に生まれてきてから、なにも見たことがありません。そんなに高い山ですから、人間も登ってくることもなければ、めったに獣物も上ってくるようなこともなかったのです。

ただ、毎日聞くものは、風の音ばかりでありました。木はべつに話をするものもなければ、また心をなぐさめてくれるものもなく、朝から夜まで、さびしくその山の上に立っていました。同じ木でも、にぎやかな都会の中にある公園にあったならば、毎日、いろいろなものを見、またいろいろな音を聞いたでありましょう。しかし、この木はそんなことがなかったのであります。

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  • 獣物けだものno gloss yet

From 小川未明, 山の上の木と雲の話 via Aozora Bunko. Public domain; transcribed and proofread by Aozora Bunko volunteers.