JLPT N3 · Graded reading
山へ帰りゆく父
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「いいや、見たくない。」
「お父さん、これから、なにかうまいものを食べに出かけましょう。」
「いいや、なにも食べたくない。」
父親は、じっとして、家の中に、すわっていました。
「どうしたのですか?お父さん。」と、息子は、なにをいっても、父親が気乗りをしないので、心配して問うたのでありました。
「私は、国へ帰りたくなった。」と、父親は答えました。
息子は、これを聞くと、目を円くして、
「あんなさびしい山の中へ帰ってもしかたがないではありませんか。どうして、あの不便なところがいいのですか?」と、息子は、父親の心をはかりかねて、たずねました。
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From 小川未明, 山へ帰りゆく父 via Aozora Bunko. Public domain; transcribed and proofread by Aozora Bunko volunteers.