JLPT N1 · Graded reading

黄金豹

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怪獣と宝石

美宝堂の怪事件があってから三日めのことです。またしても、銀座通りの商店に、恐ろしいことがおこりました。こんどは美術商でなくて、宝石商の店に、とつぜん、黄金の豹があらわれたのです。

それは有名な宝石商で、広い店の中には、たくさんの大きなガラスの陳列棚がならんでいて、そのガラス=ケースのあいだを、お客さまが、自由に歩けるようになっていました。

夜の八時ごろのことです。店の中には、十何人の男や女のお客さまがあり、七人の店員が、それらのお客さまに、ケースの中から、宝石のブローチや、くびかざりなどを取りだして見せているのでした。すると、ひとりの女のお客さまが、店のむこうのすみの方を見て、へんな顔をして店員にききました。

From 江戸川乱歩, 黄金豹 via Aozora Bunko. Public domain; transcribed and proofread by Aozora Bunko volunteers.