JLPT N2 · Graded reading

雪くる前の高原の話

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夏のはじめの時分には、どんなに、自分たちは楽しかったろう。このあたりは、自分たちの朗らかに歌う唄の声でいっぱいであった。そして、紫や、赤や、青や、黄や、白の美しい花たちは、いずれも自分たちの姿をほめはやしたものだ。そして、すこしでも長く、自分のところにいてもらいたいと願ったものだ。しかし、もう、自分たちの仲間は散ってしまった。美しい花は、とっくの昔に、なくなってしまった。けれど、なんで、もう一度ああいうことがこないといえよう……。はちには、こんなことも空想されたのでした。

From 小川未明, 雪くる前の高原の話 via Aozora Bunko. Public domain; transcribed and proofread by Aozora Bunko volunteers.