JLPT N2 · Graded reading
透明怪人
100% N2 vocabulary · 305 characters · 0 words to look up
老人は大友君の手をにぎったまま、一方の手をのばして、かべのどこかを、おしました。すると、そこに、ひみつのおしボタンでもあったのか、一方のコンクリートのかべが、音もたてないで、スーッと動きだし、そこに、人の通れるほどの、すきまができました。かべのように見えていたのが、じつは、厚いコンクリートのドアだったのです。
老人に手をひかれて、そのすきまを、はいると、コンクリートのかべは、もとのとおりに、しまっていました。そこは、まっくらなトンネルのようなところです。そのトンネルを十メートルほど、すすむと、老人はまた、かべのボタンをおしたらしく、正面のドアがスーッとひらいて、そのむこうから、明るい光がさしてきました。
From 江戸川乱歩, 透明怪人 via Aozora Bunko. Public domain; transcribed and proofread by Aozora Bunko volunteers.